今回取り上げるのは「広告をナメたらアカンよ」というちょっと尖ったタイトルのビジネス本です。
ネットビジネスと広告ビジネスというのは非常に親和性もあり、特にアフィリエイトを中心にやっている人は「広告そのもの」についてちょっと疑問に思うことも多いようで・・・・。「実際に自分のやっていることは世の中の役に立つことなのか?」
と悩んでしまい、作業が止まる。そんな心の迷いを断ち切る?いや深めるかもしれない良書だと思います。
広告の価値は「時代・社会・人間」において合意したクリエイティブである?
この本を読んでると、1ページに1回ぐらい繰り返し出てくる言葉が「時代と社会と人間」の関係性の中で広告がどんな価値をもたらせるのか?が決まるということです。
この本は「広告宣伝会議」の中で「広告を読む」という連載が書籍化されたものということで、すごく分析の仕方が文学部的で読んでいる人にも納得できる解説です。
文学研究ではよく「コンテクスト(文脈)」なんて言われるけれど、結局言葉は「コト(事)の葉(影)」なので、その時代で意味が変わってしまうんですね。
だから時代に合わないマーケティング、セールスプロモーションを仕掛けると途端に悪意を持って解釈されるのだそう。
ホントその通りで特に不特定多数に見られてしまうTVCMは気を使って流さないと、「なんで見たくもないものを繰り返し見せられるんだ?」となるわけです。
私もCMカット機能が付いたビデオ欲しかったし、基本的にモノ余りの日本では、わざわざTVCMに流していただかなくても、自分で情報は得られるわけです。
その点ネット広告、特にSEOマーケティングはは検索してきた人にだけ広告を見せることが可能なので、あまり不評は買いません。だから、今はコチラが優勢です♪
広告をナメたらアカンを読むと時代に合わせた総合マーケティングが学べます
世の中マーケティングの本は腐るほどあるけれど「広告をナメたらアカン」を読むと、時代の雰囲気に合わせた総合的になマーケティングが学べます。
私もたまにこういう記事を書くけれど、みんなが今の時代に思っている本音をオブラートに包んでCMにするのがTVで、逆にケバケバ尖らせて表現させるのがネット広告の本質。
TVは独占で顧客が逃げにくいけど、ネット広告はクリック一つで去ってしまうから。
で、この本で学べるのは、時代においてみんなの価値観をどうやって言葉にして絵にして、さらに商品を売っていけば良いのか?
有名なCMはどんなことを考えて世に送り出されたのか?ということが具体的に学べるようになってます。(さすが大学の先生)
すごく面白かったのがこの広告コピー。
よくぞ・・。という感じですが、この裏に隠された時代と人間と社会のあり方、そして広告ができるまでの時代感が分析的に書かれていましたよ?
人口の約30パーセントを占める65歳以上のお年寄りの扱いに関してどんな表現をしていけば良いのか?
この世代をどう呼べば、どう扱えばいいのか?
「お+じいさん」「お+ばあさん」・・・ちょっと敬語っぽくなくなっている?
「老人・お年寄り」・・・なんか人生の終わりかけって感じがする・・・?
「熟年・シニア・シルバー」・・・今っぽいがありきたり・・??
「グランドジェネレーション」・・・認知度が低いし、伝わらない・・・?
こうやって数千万人に見られるTVCMを作る方々は悩みまくるわけですね。時代と社会と人間の関係、そして広告主の意図が絡み合って作られる最後のキャッチコピー。
そういうものを事例を挙げて解説してもらえると非常に勉強になりますよ?
「広告をナメたらアカンよ」の中で気になったCMと解説文
では最後に私が「広告をナメたらアカンよ」の中で本を折り返して後で読み直した部分を紹介しようと思います。(長くなるので一部を省略・編集します)
・なくして分かる有難さ。親と健康とセロテープ
「 無くしたものをしのぶ胸の締め付けられるこわばり、そしてその思いを見つめるまなざしに胸のこわばりの温かくほどける思い、そしてその向こうに、あまりに肥沃な「人間」を思い知った」
・四十歳は二度目のハタチ(伊勢丹メンズ)
「その昔、40男はドブネズミだった・・・。20代前後の前後のスタイルがその後のファッションを決めると言うが、その説には違和感がない・・・終身雇用制が崩れてない時代においては日本人の男たちは割と年齢に誠実に向き合っていた気がする・・このコピーはそんな男たちを祝っているようだ・・」
・おいしいものは、脂肪と糖でできている
「この広告の真のダイナミズムは、実は「欲望の肯定」にあるとおもう。「食べたい」という欲望を認めながら、「ダイエットしたい」という欲望も叶えようとするのだ。その欲望のあっけらかんとした肯定が実に心地よい」
・愛だろ、愛っ (ザ・カクテルバー)
「テレビで主人公は地方から出てきたばかりの都市単身生活者男子で、恋愛がしたいと願い、カッコよく決めたつもりが、うまくいかない。(ああ!)自分には愛が足りない。ゆえに「愛だろ、愛つ」ということらしい。多くのバリエーションがあったが、それがデフォルトの設定だったそうだ」・・・
「恋は遠い日の花火ではない」は1994年のコピーである。あの頃、若者も大人も恋愛に夢中だったのだ・・・。
どうでしょ?こうやって見てみると、広告って時代と社会と人間の関係が非常に反映されていて面白くないですか?
今まではこういう広告って一部の人に独占されていたのに、今では個人がこうやってネットでできる時代になりました♪
さて、そこから先どんな広告文化が生まれていくのか?勉強しながら月収100万稼げるとしたら、非常に面白いと思いませんか?